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東京宝石倶楽部

カルティエ。伝統を守りながら変化していく、その歴史と魅力、買取事情について

  • 執筆者の写真: 東京宝石倶楽部
    東京宝石倶楽部
  • 9月24日
  • 読了時間: 18分
19世紀後半、フランスパリの街並みイメージ

カルティエは世界5大ジュエラーの一つとして、多くの人々がその名を知り、憧れを抱くブランドです。人によっては、ジュエリーよりも時計を先に思い浮かべるかもしれません。

そんなカルティエの歴史から現在まで、そしてジュエリーを中心とした買取事情について解説します。 ※このページに掲載している画像は、すべてイメージです。


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つながっていく歴史

 

カルティエは創設者のルイ=フランソワ・カルティエが、師であるアドルフ・ピカールからパリのアトリエを継いだ時から始まりました。

ルイ=フランソワ・カルティエは腕のいい職人というだけでなく、商才にも長けていました。

その足跡は明確に歴史に刻まれています。アトリエを継いで10年も経たないうちに、パリのみならず海外の上流階級に、カルティエは数多く親しまれるようになったのです。


19世紀が終わりを迎えようとするころ、カルティエに重要な人物が加わります。ルイ・カルティエは、フランソワ・カルティエの孫にあたる人物。そして、カルティエの発展に重要な役割を担う存在となります。

ルイ・カルティエの最初の業績として、店舗を創業の地からパリのラペ通り13番地に移転したことがあげられます。同時に新たなスタイル、後に「ガーランドスタイル」と呼ばれるプラチナジュエリーを世におくり出します。

折しも時代の大きな節目というべき20世紀が、目の前までやってきていました。新時代とともに、近代的なアールデコスタイルを先取りした、新たなジュエリーをカルティエは発表します。アールデコが広く浸透していくのは、それから約20年後のこと。カルティエの先進性を感じることができます。

 

新時代にカルティエは、さらに大きく躍動していきます。ルイ・カルティエの弟、ピエール・カルティエはロンドンのニューバーリントン通り4番地に支店をオープン。

ちょうどイギリスでは、エドワード7世の戴冠式が執り行われていました。カルティエは王室御用達の宝石商と認定されます。「王の宝石商、宝石商の王」とも讃えられ、瞬く間にスペインなど十数か国の王室の御用達になっていきます。

さらに同時期には、腕時計づくりにも着手。この時に手がけた腕時計「サントス」は、ルイ・カルティエの友人であるブラジル人飛行家に贈るためのものでした。

 

カルティエの勢いはとどまるところを知りません。

ピエール・カルティエはニューヨークへ渡り、5番街に支店をオープン。ブランドが産声をあげてから半世紀あまりで、広く海を越え大いなる飛翔を遂げたのです。

この時期もカルティエは、特徴的な時計を世に送り出していきます。ミステリーロック「モデルA」、「タンクウォッチ」、そして最初の「パンテール」として、ダイヤとオニキス(天然石)の腕時計が誕生したのもこのころです。

 

1920年代は、カルティエのジュエリーにとって特別な年になります。

ジャン・コクトーが身につけたリング「トリニティ」、植物をモチーフにし、後に「トゥッティフルッティ」と呼ばれるようになるブレスレットが世に出ます。

1933年、そこから数十年にわたりカルティエのデザインを担う、“ラ パンテール” ジャンヌ・トゥーサンがクリエイティブディレクターに就任。1940年代から60年代にも、カルティエは独創的なデザインを次々と世におくり出していきます。いくつかの例をあげてみましょう。

 

  • 「籠の中の鳥」ブローチ

  • ウィンザー公爵夫人のための「パンテール」のブローチ

  • 大女優マリア・フェリックスの「スネーク」のネックレス

  • ロンドンで生まれた奇妙で個性的なウォッチ、「クラッシュ」

etc。

 

この後も、「LOVE」ブレスレットや「ジュスト・アンクル」ブレスレット、「マスドゥカルティエ」といった、先進性のあるデザインが次々と生み出されていきます。

80年代に入ると、「カルティエコレクション」の創設など、ブランドのスタイルを記録し、収蔵していく活動にも力が入れられるようになります。

さらに2000年代になると、「責任あるジュエリー協議会」創立への参画など、ジュエリーや時計といった「モノ」以外の活動にいっそう幅を広げていきます。

一方でプロダクトの新たな取り組みとして、カルティエブランドのフレグランスやバックが親しまれるようになってきたことも、付け加えておきましょう。

 

カルティエの魅力

 

ここで、カルティエの魅力を整理してみたいと思います。

 

●どんなブランド?と表すと

5大ジュエラーの中でもカルティエが際立っているのは、「ジュエリーと時計の両方の分野で、世界最高峰の地位を確立している」ことです。

他の名門ジュエラーが基本的にはジュエリーを中心にしているのに対し、カルティエは時計製造においても「サントス」「タンク」「バロンブルー」といった伝説的なモデルを生み出し、揺るぎない名声を得ています。

 

同時に、この時計製造の卓越した技術と美意識こそが、カルティエのジュエリーにも深い価

値をもたらしています。

精密機械である時計を作り上げる緻密な技術力。ケースやブレスレットのデザインに込められた美的センス。そして金属加工における匠の技術は、すべてジュエリー製作にも活かされています。時計で培った金属の質感へのこだわり、装着感を追求した人間工学的アプローチ。さらには機能美と装飾美を両立させるバランス感覚は、カルティエのジュエリーを他のブランドと一線を画す、独自の魅力を持つ作品へと昇華させています。

 

こうした二つの分野での専門性が相互に影響し合うことで、カルティエのジュエリーは単なる装飾品を超えた、芸術作品としての完成度を誇っているのです。つまり時計づくりで鍛え上げられた技術力が、より精巧で革新的なジュエリーの創造を可能にし、5大ジュエラーの中でも独自のポジションを確立している、との評価につながっています。

 

●デザインについて

カルティエのデザインは、古典的な美しさと現代的な感性が絶妙に調和した、独特の世界観を持ちます。最も特徴的なのは、幾何学的なラインと曲線美を巧みに組み合わせた、洗練されたフォルム。

アール・デコ様式の影響を受けながらも、決して時代に縛られることなく、常に新しい美的価値を創造し続けています。

 

カルティエの代表的なコレクションには、パンテール(豹)、トリニティ(三連リング)、LOVEなどがあり、これらは単なる装飾を超えて、それぞれに深い意味とストーリーが込められています。

パンテールは力強さと優雅さの象徴。トリニティは愛、友情、忠誠を表現し、LOVEは永遠の愛の誓いを形にしたものです。

 

カルティエは色彩の使い方も絶妙です。クラシックなダイヤモンドとプラチナの組み合わせから、鮮やかなエメラルドやルビー、サファイアを効果的に配した大胆な作品まで。これらで幅広い表現を実現させています。

また、異なる素材を組み合わせる技術も卓越しており、金属の質感、宝石の輝き、エナメルの深みなどを調和させることで、他にはない独創的な美しさを生み出しています。

 

●ジュエリーに使われる宝石について


カルティエが使用する宝石は、世界最高品質の石のみを厳選しています。とりわけダイヤモンドにおいては、他の名門ジュエラーとは異なる独特のアプローチを持っています。ハリー・ウィンストンが大粒の稀少ダイヤモンドに特化し、ティファニーが理想形とされるダイヤのカッティング技術で知られるのに対し、カルティエの強みは「デザインとダイヤモンドの完璧な調和」にあります。

カルティエは単にダイヤの品質だけを追求するのではなく、作品全体のコンセプトに最も適したダイヤモンドを選定し、そのデザイン性を最大限に活かす配置と組み合わせに長けています。

 

たとえば、パンテールコレクションでは豹の瞳にエメラルドを配し、斑点模様をダイヤモンドとオニキスで表現しています。これによりダイヤモンドが単独で輝くのではなく、作品全体のストーリーの一部として機能します。またトリニティリングでは、異なる色調の金属が組み合わさることで、ダイヤの白い輝きがより際立つよう計算されています。

 

カルティエのダイヤモンドセッティングで最も特徴的なのは、時計製造で培った精密技術を活かした、革新的な手法です。特に石座を最小限に抑えて宝石本来の美しさを際立たせる技術や、複数の小さなダイヤモンドを隙間なく敷き詰める「パヴェセッティング」など、高度な技術が必要とされる手法を完璧に習得した職人たちにより、一つひとつ丁寧に作り上げられています。

また、カルティエ独自の金属加工技術により、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すセッティングを実現。光が石全体を通り抜けることで、他では実現できない透明感と立体感を生み出しています。

 

色石においても、カルティエは卓越した目利きで知られています。

コロンビア産エメラルド、ミャンマー(ビルマ)産ルビー、カシミール産サファイアなど、産地にこだわった最高級の原石を調達し、それぞれの石が持つ天然の美しさを最大限に引き出すセッティング技術を駆使しています。エメラルドでは、独特の深い緑色と内包物(ジャルダン)の美しさを活かしたカッティングを施し、ルビーでは血のように深く美しい赤色(ピジョンブラッド)を重視した選定を行っています。

 

さらに、カルティエは希少な宝石を用いることでも知られています。

パライバトルマリン、パパラチアサファイア、アレキサンドライトなど、市場で入手困難な石を使った作品も数多く手がけているブランドです。

これらの希少石は、カルティエの世界的なネットワークと長年培った信頼関係により調達が可能となっており、他のブランドでは目にすることのできない特別なジュエリーが生み出されています。

 

それぞれの宝石単体でなく、これらの組み合わせにおいても、カルティエは独創的なセンスを発揮します。伝統的な組み合わせにとどまらず、異なる色調や質感の宝石を意外性のある配置にすることで、新しい美的価値を創造しています。

こうした革新的なアプローチこそが、カルティエを5大ジュエラーの中でも特に芸術性の高いブランドとして位置づけている要因なのです。

 

●カルティエとプラチナ

カルティエの歴史を語る上で、プラチナとの関係は欠かすことのできない重要な要素です。カルティエは世界で初めてジュエリーにプラチナを採用し、この革新的な素材によりジュエリー界に「プラチナ革命」をもたらしました。

 

3代目のルイ・カルティエは「プラチナこそ貴金属の王である。それは繰り返し自らを主張するであろう」という言葉を残し、1900年に世界で初めてプラチナのジュエリーを制作しました。

当時のジュエリー業界では、台座にはシルバーが一般的に使用されていましたが、シルバーは酸化により年月が経つと黒く変色してしまう弱点がありました。

プラチナは銀の融点961.93℃、金の1064℃に対して1772℃と高く、そのため成形には高い技術が必要でした。この性質があるため、それまでプラチナは主に産業用の金属として利用されていたのです。

しかし、ルイ・カルティエはプラチナが持つ独特の特性に着目しました。どのような高温でも酸化せず常に輝きを保ち、紙のように薄く、糸のように細く延ばせる特性は、特にダイヤモンドの輝きを引き出す上で最大の利点だったのです。

 


プラチナという画期的な素材の採用により、カルティエは「ガーランドスタイル」という革新的なジュエリーデザインを生み出すことに成功します。19世紀末、アール ヌーヴォー・スタイルが流行していた中、ルイ・カルティエは18世紀のフランス・ネオクラシック様式を再解釈し、他に先駆けてプラチナを採用することで非常に洗練された独自のスタイルを実現しました。

しなやかな特性を持つプラチナだけが、カルティエの意に沿う素材でした。精緻な細工を可能とする素材が必要不可欠であり、繊細で軽やかな宝石だけを連ねたようなカルティエの華麗なジュエリーは、プラチナにより可能となったともいえます。

 

これらの革新的なジュエリーは世界中の王室を魅了し、英国王エドワード7世の戴冠式には装身具の下命を賜る栄誉に浴しました。

プラチナのガーランド・スタイルは、素材の習熟でも加工技術でも、まさにカルティエの独壇場。他のジュエラーの多くがプラチナを手がけるようになるのは、これより30年近くも後のことです。カルティエはプラチナにより、他の追随を許さない独自の地位を築くことができたのです。

現在でも、カルティエにとってプラチナは特別な素材であり続けています。ジュエラーとして培ってきた金属加工の技術はカルティエの強みで、この技術は宝飾時計の製造でも使われています。


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カルティエと日本

 

カルティエと日本の関係は、明治時代後期にまで遡ります。1900年代初頭、パリ万国博覧会で日本の工芸品に魅了されたルイ・カルティエは、日本の美意識や技法をヨーロッパのジュエリーデザインに取り入れる先駆者となりました。

手鏡の形にインスパイアされた置き時計、神社の建築を想起させるミステリークロック。さらに印籠を着想源とするヴァニティケース、古い版画に描かれたトンボをモチーフとしたダイヤモンドの羽を持つブローチなど、日本と関係が深いアイテムはいくつもあげることができます。

 

そんなカルティエが日本でどう認知されていき、ビジネスとして広がっていったのか。

カルティエの日本市場への本格参入は1974年のこと。国内初めてのブティックが、東京原宿にオープンしました。

当時の日本は高度経済成長期の真っただ中、海外の高級ブランドへの憧憬が大きく高まっていた時代です。カルティエは単なる舶来の高級品としてではなく、「王侯貴族に愛されたフランスの至宝」として日本市場に紹介され、その格式の高さと歴史的背景が日本人の美意識に深く響きました。

 

1980年代から1990年代の日本のバブル期、カルティエは独自のポジションを築きます。

同時期にティファニーのオープンハートが、「男性が女性にプレゼントする定番」として長蛇の列ができるほどの人気を博したのに対し、カルティエは「ラブブレスレット」と「トリニティリング」を中心に、より成熟した恋愛観、結婚への憧憬を象徴するブランドとして支持されました。

 

ティファニーが比較的手の届きやすい価格帯で若いカップルに愛されたのに対し、カルティエは経済的に余裕のある層や、より長期的な関係を意識したカップルに選ばれる傾向がありました。

またハリー・ウィンストンが「特別な場面でのみ身につける最高級品」、ブルガリが「イタリアンエレガンス」、ヴァンクリーフ&アーペルが「華やかで可愛らしいデザイン」といった強い個性を持つ中、カルティエは「フランスの洗練されたエスプリ」を体現し、「日常に溶け込みながらも、格式を感じさせるブランド」としてより多くの人が知る、実際に手に届くブランドというステータスを得ました。

 

バブル崩壊後も、カルティエの日本での地位は揺らぐことはありませんでした。

ティファニーのオープンハートが「バブル期の象徴」として、一時的にネガティブなイメージを持たれたのとは対照的に、カルティエは「真の価値を見極める目が養われた生活者」を中心に支持され続け、「一生もののジュエリー」として選ばれるという地位を確固たるものにしました。

2000年代以降は若い世代にも浸透し、「パシャ」や「C ドゥカルティエ」といった比較的手の届きやすいラインの展開により、より幅広い年齢層に愛されるブランドへと発展しています。

 

現在の日本におけるカルティエは、SNSとデジタル時代に適応した新しい顔を見せています。2010年代を中心に大人気となったTVドラマシリーズでは複数のカルティエが映し出され、Instagramでは有名女優がサントスネックレスを日常づかいする姿を投稿されるなど、著名人による愛用シーンがSNSで広く拡散されていきました。

これにより従来の「特別な日のアクセサリー」から、「洗練された日常」を演出するブランドへとイメージが変化しています。

 

結婚指輪、婚約指輪でも常に上位にランクインし、特に30代以上の女性からは「本物志向のブランド」として絶大な信頼を得ています。時計においても「タンク」「サントス」といったクラシックモデルが、ファッション感度の高い男女から支持され続けており、ジュエリーと時計の両方で成功している数少ない海外ブランドとして特別な地位を占めています。

現代の日本人がカルティエに抱く印象には、「格式」「伝統」「洗練」に加えて、「現代的なエレガンス」という新しい価値が加わり、他の5大ジュエラーと比較しても、「フランスの優雅さと現代性」を両立するブランドとして独特の魅力を放ち続けているのです。


カルティエの買取事情

 

カルティエは5大ジュエラーの中でも特に安定した人気を誇り、日本国内での認知度も抜群に高いブランドです。そのため多くの方が「カルティエなら高く売れるはず」と考えらるのも当然でしょう。

しかし、実際の買取事情はそう単純ではありません。

 

前提としてジュエリーの買取では、売却したアイテムが必ずしも再販されるわけではありません。宝石と地金部分を分解し、素材として扱うケースが多くあります。ゴールドやプラチナだけで宝石がついていないものは、貴金属部分のみを素材として扱います。

 

カルティエであってもそれは同じ。そのまま再販できるのは状態がよい極めて人気が高いコレクション、あるいは廃盤や流通量の少なさで手に入りにくく、希少価値が高いものに限られます。

「状態がよい」とは傷がないといったことだけではなく、すぐそのままでも販売できる状態を指します。ジュエリーに限りませんが、中古でそのまま高く販売できる品は、滅多にありません。

 

カルティエであっても買取後は、素材として扱うものが大半です。再販にまわせる状態のよいものは、全体のせいぜい2割といったところでしょうか。その中の多くはイニシャルを削ったり傷を修繕するといった加工が必要なので、そのまま販売できるものはさらに限られてきます。

素材であればカルティエであっても他ブランドであっても、ノンブランドと比べても価値はほとんど変わりません。

 

素材といえば地金。プラチナは貴金属として特にイメージしやすいですが、プラチナにこだわりが強いカルティエのプラチナであれば、査定でも高く評価されるでしょうか?

答えはNOです。カルティエであってもプラチナは、その時点での標準相場で評価することになります。なぜならカルティエのプラチナは製品となれば非常に優れたものですが、素材としては他のプラチナと同列です。たとえるならコシヒカリの炊きあがったご飯が、あるお店では炊き方に工夫がなされふっくら美味しく一杯800円で出されているとします。しかし材料である同じコシヒカリの白米を店がそのまま売っても、他所とほぼ同じ値段しかつけられないようなものです。

 

ここまでややマイナス気味の内容でしたが、カルティエは買取のうえで、売り手側のメリットもあります。

5大ジュエラーの一つなので、価格が大きく崩れないというのはもちろん、ティファニーやブルガリと比べた場合だと、そのまま再販できる割合はもっとも高いブランドなのです。

ハリーウィンストンやヴァンクリーフ&アーペルもそのまま再販できる可能性は高いですが、そもそもの流通量が少ないブランドなので、これらの品はそれほど多く出てきません。

カルティエは流通量が一定以上あるブランドなので、これをお読みいただいている中には、ご自宅にお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

ここまで素材として扱う、再販品として扱うという大きく二つを解説してきましたが、そもそも査定に出されたアイテムを見て、どちらになるかの判断がつかない買取店だと話になりません。

もっとも判断がつかない買取店、査定士はたくさんいます。大規模チェーン店だと会社全体では高いレベルの鑑定士が1、2人いたとしても、「カルティエが査定に出されましたが、いくらくらいの査定額をつければいいでしょうか」などの問合せが店舗から出されることは、まずありません。ほぼお店のスタッフの判断で査定額が出されます。多くの店頭スタッフは、カルティエの需要が高いコレクションや希少価値が高いものを把握している可能性は低いですから、初めから素材としての査定額だけを出してくる店舗がほとんどです。中には「カルティエだったらこの値段」「素材としての査定額だけ出す」という、コレクションにかかわらず一律の査定額を決めているお店もあると聞きます。

 

カルティエを査定に出すならば、最低でも「人気のコレクションの判別がつくお店」という

条件は必須にしたいものです。

なおコレクションごとの需要というのは、国内だけにとどまりません。中古ジュエリー需要の中心は海外で、好みも日本国内とは異なります。たとえば「LOVE」は国内外両方で安定した人気ですが、海外では派手なデザインがより好まれます。「パンテール」は国内だと限られたニーズですが、アジア圏では高い人気です。

カルティエを素材として評価して買い取る場合でも、セッティングされている宝石が正しく査定されることが、高額買取になるかどうかの大きなポイントとなります。

 

ここまで紹介してきたように、ハイブランドの査定というのも実は複雑です。経験が少ない、マニュアルで勉強した程度の査定士が高額査定を出すのが現実的でないことは、十分にお分かりいただけたと思います。

ましてや宝石やジュエリー以外を含めた、数多くのアイテムを扱う総合買取店やチェーン店で高額査定が出ることは期待薄です。

ご売却をお考えの際は宝石、ジュエリーの専門店で査定いただくことを、強くおすすめいたします。


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この記事の監修者

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この記事は日本一の宝石街に店舗がある専門店、東京宝石倶楽部が監修しています。


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