ダイヤモンドのAI査定は可能。しかしルビーやサファイアは・・・
- 東京宝石倶楽部

- 2月12日
- 読了時間: 5分
更新日:4月29日

世の中では、「AI」という言葉が一般化しました。
こうなると「宝石やジュエリーの査定もAIでできるのでは?」と考えたくなるもの。
この記事では筆者のITに関する知見と、プロの鑑定士に聞いた査定のノウハウを合わせ、「宝石やジュエリーのAI査定は可能か」について紹介していきます。
1. AI査定のイメージ
2. AI査定は可能なのか
1. AI査定のイメージ
“宝石やジュエリーについて、写真といくつかの情報を送ればすぐに、自動でそのアイテムの査定額が返ってくる”
すごくざっくりですが、これが宝石、ジュエリーの「AI査定」のイメージでしょう。基本的にはこのとおりです。
この記事を書いている2025年1月時点では、写真なしで「いくつかのテキスト情報」でAI査定をしている所も多いようです(とはいえ、数えるほどですが)。
今までは、ほぼ人が査定していた宝石やジュエリー。今後はAIが主流になっていくのでしょうか。
2. AI査定は可能なのか
AI査定が可能かどうかでいくと、(たくさんの条件付きで)可能です。
種類別に、ざっくりと可能かどうかについて分けてみましょう。
・貴金属:可能
・ダイヤモンド:可能
・ブランドジュエリー:理屈上は可能だが難しい
・それ以外の宝石:かなり難しい
金(ゴールド)やプラチナといった貴金属は、相場価格が出ているので、そのデータに照らせばいいので可能です。ダイヤモンドも4Cを基準に査定できます。
■4Cとは
・Carat:カラット(重さ)
・Clarity:クラリティ(透明度)
・Color:カラー(色)
・Cut:カット(カット/プロポーション)

この4Cに照会すればいいので、AI査定で金額が出せる可能性は高いです。写真なしでも、これらが記載された鑑定書や情報があれば査定額を算出できます。しかしこれがAIかというと、IT的には・・・?ですが、仕組み的には可能というのが結論です。
もっとも個々のアイテムの状態は考慮されませんし、相場や基準額をそのまま反映するとも限りません。そのため「AI査定≒高額買取」となるかはかなり疑問です。
名の知れたブランドジュエリーも、理屈的にはAI査定が可能です。ブランドに関するあらゆる情報を設定しておけば、それを基準にできるからです。けれども実際のところ、それは現実的ではなさそうです。ブランドだけでも数多くあり、その中に無数のアイテムがあるわけです。これをシステムにインプットするだけでも気が遠くなりますが、ブランドジュエリーはトレンドも強く影響します。それもシステムに反映させていくと考えると、かなり無理があります。

ルビーやサファイア、エメラルドといった色がついた宝石、いわゆる色石(カラーストーン)はかなり困難です。色や産地といった金額の部分的な目安がつけられる情報もありますが、基本は品物ごとの評価だからです。
それでも本来のAIであれば精度をあげて査定できる可能性もありますが、そのためには世界中の宝石のデータを、画像を含めかなりの数持っておく必要があります。けれども世界規模の団体などない色石、使えるデータ自体がないのが現実です。
来店はもちろん、オンラインにより全国からの査定相談ができます。
3. お客様はAI査定とどう付き合えばいいか
結論として、AI査定は「おもしろアイテム」です。
数十年後にさらにAIが進化したり、データが一元的に集められていれば変わってくるかもしれませんが、現状は話のタネでお試し、といった感じで捉えておくのがいいでしょう。
ITの豆知識としては、AI自体が20世紀の半ばから何度かブームがあって、50年以上経ってこのレベル感というのはあります。進化のスピードは急速に早まっているとはいえ、それがどれくらいで実用的になるのか?といった感じもありますが…。
現在のAIブームの端緒は、2012年に「猫の顔画像が判別できた」です。ですから筆者などは「写真で査定はできるのでは」なんて思っていましたが、鑑定士(査定士)に聞くとそう簡単ではないようです。そもそも猫の顔画像判別についても、AIの専門家に盛り上がっている頃に聞くと、「それ、Googleの話でしょ。国内のどこがそんな膨大なデータ持ってるの?」とけんもほろろでした。

宝石、ジュエリーについては貴金属、ダイヤモンド、ブランドジュエリー、それに色石で査定ポイントが大きく異なります。
まだまだ高い精度は望めないAI査定のメリットは何かを考えると、「結果がわかるのが、早い(早そう)」くらいです。ただし貴金属やダイヤモンドについては、人が査定しても数分で金額は出せます。たとえばLINE査定で返信に時間がかかるとしたら、依頼が混んでいたり、担当者が他の対応をしている、あるいは時間外だとかです。
さらに重要なこととして、「早く返信されるけど、実は安い査定額になっている」だともったいなさすぎますよね。
AIは機械がすべてを規則正しく判断するのではなく、パラメーター(変数)という基準を調整すれば安くも高くもできます。前章で書いたように、実物を見ずにこの査定額で確実に買取、とお店が出す場合のリスクを考えると、やはり低い基準に設定するのがほとんどだと思います。
宝石やジュエリーのAI査定に関する結論として、「新しいことに好奇心がある、やってみたい」と考える方は、AI査定を試してみるのもいいでしょう。それを絶対的に信じるのではなく、査定額の参考値、あるいは話のタネとしてです。本当に売却をお考えの方は、LINEや店舗への来店、出張買取など人による査定方法も併用して、ベストな買取先を探すことが必要です。
「とにかく高額で買い取ってもらいたい」という方は、LINEや来店、出張などの方法を問わず、人による査定を複数店に依頼するのがおすすめです(手早さではLINE、正確性では来店がよりおすすめです)。
実のところAIそのものは、IT界隈では2023-2024前半ほどの盛り上がりはなくなっています。初期の爆発的なブームが落ち着いたわけで、別の言い方をすれば一般にそれだけ浸透してきているということになります。
現状のAI査定はテクノロジー的に進化した査定機能というよりも、「業界価格」「円高還元」に近いキャッチコピー的なものになってきている気もします。
東京宝石倶楽部は、LINEの簡単なやり取りで正確な査定額をお出しします。他店、AI査定との比較もOK! 東京近郊はもちろん、全国から買取をしています。
この記事の監修者

東京宝石倶楽部
この記事は日本一の宝石街に店舗がある専門店、東京宝石倶楽部が監修しています。




