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東京宝石倶楽部

ヴァンクリーフ&アーペル。詩的で愛らしいブランドの歴史と魅力、そして買取事情について

  • 執筆者の写真: 東京宝石倶楽部
    東京宝石倶楽部
  • 9月26日
  • 読了時間: 13分
森の中と、うっすらと背景に映るジュエリー

ヴァンクリーフ&アーペルは見た目が愛らしく、華やいだアイテムが多い個性的ブランドです。メッセージ性も強く、詩的なムードを漂わせます。

そんなヴァンクリーフ&アーペルの歴史から現在まで。そして買取事情について解説します。 ※このページに掲載している画像は、すべてイメージです。


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愛が結ばれて生まれたブランド

 

世界5大ジュエラーの一つに数えられるヴァンクリーフ&アーペルですが、そのブランド名は見ての通り二つの名で結ばれています。これは「アルフレッド・ヴァンクリーフ」「エステル・アーペル」、2人の結婚をきっかけに誕生したブランドだからです。

 

宝石商の家に生まれた二人は、アルフレッド・ヴァンクリーフの義兄、シャルル・アーペルとパリのヴァンドーム広場22番地にブティックをオープンさせます。少し遅れてジュリアンとルイ・アーペルという他の才能あふれる一族たちが参加。

今なお変わらずこの地に建つヴァンクリーフ&アーペルの本店は、こうして始まりました。

ヴァンドーム広場は1720年に完成、19世紀には富裕層が滞在する多くのホテルが建ち、その貴婦人たちに向けて高級ジュエラーが次々と店を構えていった場所です。

5大ジュエラーではヴァンクリーフ&アーペル以外にカルティエもこの地に店を構えます。シャネルは店を持つだけでなく、この場所からインスピレーションを受けて香水「シャネルNo.5」のボトルを得たと言います。

 

ヴァンクリーフ&アーペルのジュエリー制作はそれから約10年の後。「木に触れると幸運が訪れる」という言い伝えをもとにした「タッチウッド」ジュエリーからでした。これをきっかけにして数多くの、詩的で情緒あふれる、愛らしいヴァンクリーフ&アーペルのジュエリーが誕生していきます。

 

独自のスタイルが確立していったのは1920年代、ネ・ピュイサンとルネ・シム・ラカズがアートディレクターに就いた時からです。ジュエリーで特にあげておくべきは、ミステリーセッティング(ミステリーセット)技法を発明、特許登録したことでしょう。

ミステリーセッティングとは宝石を支える爪や枠が見えないようにセットする極めて高度な技法で、現在もヴァンクリーフ&アーペルの限られた職人以外は再現が難しいとされる技法です。

 

1940年にはニューヨークの店舗を、世界的な高級ショッピングストリートの五番街に移転。この時期には、バレリーナとフェアリーのクリップ、ラブバードクリップなどの愛らしいアイテムが生み出されていきます。

ブランドを代表するコレクションが誕生したのは、1968年のこと。「アルハンブラ® コレクション」が発表されます。四つ葉のクローバーをモチーフにしたこのコレクションは、ブランドのアイコンとして世界中で「ヴァンクリーフ&アーペル」と耳にした多くの人々が、今も昔も真っ先に思い浮かべるデザインです。

 

20世紀の後半は雪の結晶をモチーフにした「スノーフレーク」、4枚のハート型の花びら「コスモス」など、ヴァンクリーフ&アーペルらしさが感じられるコレクションが次々と発表されていきます。

2000年代に入ると、さらにブランドを代表するコレクションが加わっていきます。

「フリヴォル」「ペルレ」です。フリヴォルは花びらのような立体的デザイン。ペルレはシンプルな現代的デザインのコレクションです。

さらに2000年代はハイジュエリーコレクションの発表、世界の主要都市での旗艦店オープン、展示会の開催、ジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」の設立など、ヴァンクリーフ&アーペルは活発な活動を見せています。

 

なおジュエリー中心なのでここまで触れていませんが、ヴァンクリーフ&アーペルは時計も有名なブランドです。時計とのかかわりの歴史は古く、創業時から独自性のあるジュエリーウォッチを手掛けてきています。

 

ヴァンクリーフ&アーペルの魅力

 

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ヴァンクリーフ&アーペルの大きな特徴、まっ先にあげられるのは可憐なジュエリーの数々でしょう。

代表格は何といっても「アルハンブラ」。四つ葉のクローバーをモチーフにしたコレクションです。「幸運になりたければ、幸運を信じなさい」。ジャック・アーペルがたびたび口にしていた言葉を象徴するように、アルハンブラはまさに「幸運」を意味するコレクションです。名称はスペインの「アルハンブラ宮殿」に由来しますが、この宮殿も四つ葉をデザインに取り入れて建築されたものなので、もととなるのは同じく大自然からのインスピレーションです。

 

アルハンブラコレクションの発表は1968年ですが、ブームになったのはそれから少しだけ年月が経ったから。当時のジュエリー業界では前衛的すぎる、という評価があったようです。

しかし1970年代に入ると著名人が身に着け始め、またたく間にセレブ、社交界の定番アイテムへと躍り出ます。「格調高い、日常づかいのジュエリー」と話題になっていったのです。

日本を含むアジア圏でも人気のアルハンブラですが、ブームに火がつくのは2000年代以降。今日ではブランドそのもののアイコンとなっています。

 

アルハンブラがそうであるように、ヴァンクリーフ&アーペルのコレクションの多くは自然界からインスピレーションを受けて生み出されています。

可憐な花びらを象った「フリヴォル」は、日本でも人気のコレクション。ミラーポリッシュというヴァンクリーフ&アーペルならではの技法が特徴的です。「ペルレ」「ローズ・ド・ノエル」「バタフライ」「フルール・セクレット」は、海外で人気が高いコレクションです。

 

ヴァンクリーフ&アーペルは、宝石の質の高さもよく知られるブランドです。

ダイヤモンドは5大ジュエラーの一角を占めるだけに、もちろん厳選された最高ランクのものだけを使っています。4Cの基準は、ティファニーやハリーウィンストンといったダイヤモンドの王様と称されるブランドに比べても引けを取りません

素材への厳しい基準は設けながら、ヴァンクリーフ&アーペルはそこに詩情、物語性を加味します。

 

ダイヤモンド以外にも、ヴァンクリーフ&アーペルは、は色石(カラー・ジェムストーン)も厳格な基準を前提に、多く取り入れています。さらにオパール、ターコイズ、マラカイトなどから質感や模様に秀でたものも利用。オリエント風のエッセンスを加える際には、パール(真珠)も使っていきます。これらを使う理由は、ヴァンクリーフ&アーペルが重視するジュエリーの物語性を高める素材としてぴったりだからです。


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ヴァンクリーフ&アーペルと日本

 

ヴァンクリーフ&アーペルの日本進出は早く、1970年代に1号店がオープンしたとなっています。

しかし同時期に日本1号店をオープンさせたティファニーやカルティエ、店舗としての上陸が遅かったブルガリやハリーウィンストンといった他の5大ジュエラーに比べ、ヴァンクリーフ&アーペルは「知る人ぞ知る」といった立ち位置が長く続いたブランドでした。理由としては結婚・婚約指輪として定番化しなかった、日本国内で大きくブームになるコレクションが存在しなかったなどがあげられます。

 


ヴァンクリーフ&アーペルの名が大きく広がるのは2000年代、それも2008年以降なのでここ数十年のことです。

きっかけはアルハンブラでした。四つ葉のクローバーという「幸運」「お守り」といったわかりやすさ、親しみやすさを持つコレクションが、大いに支持されるようになりました。時代の風潮も「人とは違うブランドを持ちたい」となってきて、それまでの「よく知られるブランドを持つ」、という定番ニーズから流れてきた面もありそうです。

なお同時期は世界的な不況が日本にも大きく影を落としていた時期ですが、アルハンブラは逆風の中でも変わらず売れ続けていたそうです。これは「幸運」といった普遍のモチーフ、さらにそんな時期だからこそかえって指示された、という面もあるのかもしれません。

 

この時期を境にヴァンクリーフ&アーペルは日本で高く評価される定番ブランドとなり、現在につづいています。なお2020年代前半も、世界が大きく不安に覆われました。この時期もアルハンブラの人気が大きく高まり、ブランドとしては日本で「過去最高売上を記録した」と関係者がインタビューで答えています。これもやはり不安な時期のおいて、「幸運」というモチーフに多くの人が惹かれた結果なのかもしれません。

 

他のブランドが本店の大型化や多角化、コラボ展開など目立つのに比べ、ヴァンクリーフ&アーペルは展示会や教育プログラムといった取り組みはあるものの、大掛かりで派手な活動、広範囲な展開はありません。このあたりもヴァンクリーフ&アーペルが孤高、他とは違うブランドという風に多くの人々の目に映り、魅力を高めているのかもしれません。


ヴァンクリーフ&アーペルの買取事情


買取品としてのヴァンクリーフ&アーペルですが、かなり狙い目なブランドです。もしかすると5大ジュエラーでもトップ、といえるかもしれません。その理由をあげてみましょう。

 

●買取価格が安定、値崩れしにくい

ヴァンクリーフ&アーペルはもちろん知名度が高いですが、それに反して持っている人が少ない、という特徴があります。ですから中古市場でも他のブランドに比べて数が出にくく、常に需要が高い状態になっています。

ブランドとして「個性的なコレクション」なので、誰が見てもヴァンクリーフ&アーペルとわかる。他のブランドのようにフレグランスやレザー製品に展開を広げない、本物志向の価値が中古市場でも支持されている、といった理由も人気の一因です。

 

●海外需要も高い

ヴァンクリーフ&アーペルのジュエリーは国内の中古市場で人気ですが、よりニーズがあるのが海外。しかも中国、香港、東アジアといった宝石やジュエリーの取引がホットな国々で需要が多くあります。これらの国々の裕福層は、アルハンブラを財産として持つという文化があり、ヴァンクリーフ&アーペルの特徴的な素材「マザーオブパー」や「YG(イエローゴールド)」も、富の象徴として大いに好まれています。

こうした海外需要の高さから、国内で中古ジュエリー販売を中心にしている買取店より、海外ルートを多く持つお店の方がより高い査定額を出しやすくなっています。

 

●正規品の定番モデルが価格上昇中

どのブランドも、正規品の価格見直しタイミングがあります。査定においては正規品の価格改定時期、どれくらい上がったかなどを把握したうえで査定額を出す、というのが大きなポイントです。

近年のヴァンクリーフ&アーペルは金や天然石の材料高騰もあり、正規品の価格が上昇しています。中古市場もこの動きを反映して需要増、価格上昇の傾向が強くなります。

 

一方で、ヴァンクリーフ&アーペルの査定が不利になる点もいくつかあります。

まずはデザインそのものの需要がある、ということ。どういうことかと言うと、ヴァンクリーフ&アーペルはデザインやつくりといった、ジュエリーそのものに大きな価値があります。他のブランドの多くは「ジュエリーとしては破損が酷いが、素材としてなら買い取れる」「人気のコレクションでないので再販は難しいが、宝石は一定額がつけられる」といった、素材として使えるという判断ができます。

ヴァンクリーフ&アーペルももちろん素材としても買取対象にはなりますが、ジュエリーとしてそのまま、あるいは多少の修理で再販できる場合に比べると、査定額がかなり低くなってしまいます。

これは、「ジュエラーのままであってからこそ人気」という、ヴァンクリの特徴がマイナスに働いているいえます。

 

もうひとつは、ヴァンクリーフ&アーペルの価値が十分にわからない買取店、査定士の存在です。

「アルハンブラですね。それだとこれくらい」といった感じで、いろいろな年代、希少なコレクションの場合もアルハンブラと一括りにして査定額を出す、といった程度の知識しかない買取店はたくさんあります。貴金属部分の素材しか価値を見ない、少し傷があるから地金部分だけ素材として値をつける。そんな査定をされると最悪です。数十万の査定額がつくはずのアルハンブラが、数万円の査定といったケースも大いにあります。傷があれば査定額は落ちますが、ヴァンクリーフ&アーペルは再販ジュエリーとして高い需要があるので、多少の傷は許容され価値がそこまで落ちない、といったケースも多くあります。

「この傷なら直して再販できる」、といった判断ができる買取店で売却しないと、大きく損をしてしまうブランドです。

また最初に書いたようにヴァンクリーフ&アーペルはジュエリーとして高く評価されるブランドですから、貴金属の素材扱いだけされると、本来つくべき査定額から大きく落ちてしまうこともお伝えしておきましょう。

 


査定において、ブランドとしての価値を特に重視されるヴァンクリーフ&アーペル。人気のコレクションであればさらに価値がプラスされます。

需要がもっとも高いのはやはりアルハンブラです。中には「出まわり過ぎていて、価値が低いのでは?」と考える方もいらっしゃいます。しかし長い歴史を持つアルハンブラ、その種類は実に豊富です。「ヴィンテージ アルハンブラ」「マジック アルハンブラ」などは特に人気があり、使われている素材によっても価値が変わってきます。さらに1点ものやヴィンテージのアルハンブラになると、大きく価値が上がります。

 

近年は家族から譲られたジュエリーの査定が増えていますが、何となく可愛らしいデザイン、ヴァンクリーフ&アーペルやアルハンブラというのは調べてわかった、といった所有者が多くいらっしゃいます。ヴァンクリやアルハンブラがどれだけ価値があるコレクションか、までは認識できていないわけです。

さらにご本人が直接プレゼントとしてもらったアルハンブラでも、ヴァンクリーフ&アーペルの場合は、「昔もらった高級ブランドのかわいいジュエリー」、といった感じで持っている方も多くいらっしゃいます。同じ5大ジュエラーですが、ティファニーなどに比べると一般の知名度は低かったため、そこまでわかっていなくて持っている、というケースがとても多いのです。

 

実は、同じことが多くの買取店にも言えます。

パッと見でヴァンクリーフ&アーペル、アルハンブラとだけ判断して査定額を出してしまうのです。本当は数十万円のヴィンテージのアルハンブラが、たったの数万円で買い取られたといったことも実際に起きています。

こんな損を防止するには、少なくとも3~5箇所で査定を受けること。そのうちの少なくとも半分は、宝石やジュエリーを専門の買取店で査定するようにしましょう。「何でも買い取る」「主要駅前によくあるチェーン店」のような買取店でヴァンクリーフ&アーペルを査定するのは、おすすめできません。

アルハンブラ以外にも、フリヴォルやペレル、エメラルドやルビーを使った1点もののハイジュエリーは海外人気があります。当然ですが海外取引が多い買取店の方が、高い査定額が期待できます。

 

ティファニーやカルティエのような5大ジュエラーのジュエリーは、表面的にはそのブランドの決まった情報で査定額を出すことができます。あるいは地金重視で素材扱いとしての査定額を出す場合もあります。

しかしここまで紹介してきたように、同じブランドでもコレクションはもちろん、年代やデザイン、素材などにより価値はまったく異なります。ヴァンクリーフ&アーペルは特にそれによる価格差が大きいブランドです。また地金部分中心に素材として査定されると、その価値のほんのわずかしか反映されない査定額となってしまうブランドです。

こうした理由から、ブランドジュエリーをしっかり扱える目利きの買取店での査定を、特に強くおすすめするブランドです。



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この記事の監修者

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この記事は日本一の宝石街に店舗がある専門店、東京宝石倶楽部が監修しています。


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